【面接で使える時事ネタ】イギリスEU離脱問題の本質
ちまたでは「欧州難民危機(移民問題)」がイギリスEU離脱の原因と言われているが…
2016年6月、EU離脱の是非を問う国民投票がイギリスで実施され、離脱が可決しました。
この時、EU離脱賛成派が過半数となった原因としてよく言われているのが、2015年頃からの欧州難民危機です。
2015年、アフリカからヨーロッパへの移民・難民の数が100万人を超えるという統計が発表され、世間の目が移民に集まったのですが、その結果移民が起こす様々な問題ばかりマスコミで報じられました。
移民による暴力事件、窃盗事件、強姦事件、殺人事件などが連日報じられ、移民へのヘイト感情がものすごく高まったのです。
そして、移民流入の原因はEUであるとして、EUへの批判感情が高まりました。
シェンゲン協定というEU圏内ならパスポートなしに行き来できる仕組みのせいで、中東地域やアフリカからヨーロッパに渡ってきた不法入国の移民・難民がイギリスにまで流れてくる、というのです。
特に、イスラム国やらISISやらのせいで反アラブ・反イスラムの感情が高まっていたのもあります。
事実、反EU政党であるUKIPの支持率は、2015年に過去最大の16%にまで達しました。
そうした理由から、「欧州難民危機」が、イギリスEU離脱の原因である、とちまたで浅い人たちがのたまっています。ですが、本当にそうでしょうか?
イギリスEU離脱の本当の原因は、1961年までさかのぼる
1961年にイギリスは初めてEEC(欧州経済共同体。のちのEU)に加盟を申請しました。EECの目的は経済統合の実現です。
しかしEEC内部の国は、イギリスの加盟に反対しました。
その筆頭はフランスです。当時のフランス大統領ド・ゴールが、イギリスのEEC加盟を1963年、1967年の二度にわたり拒否。
「イギリスはEECの政治目的を支持せず、経済利害も現加盟国とも一致しないだろう」というのが拒否の理由でした。
というのもイギリスは、ヨーロッパの他の国と比較してアメリカとの関係が深く、EECの究極の政治目的である「強い欧州」の構築を阻害しかねないと思われていたのです。
その後1967年にEECはEC(欧州諸共同体)へと規模を拡大。
1969年にフランスで新しい大統領が当選し、反イギリスの姿勢は軟化し、1973年にイギリスはついにEC加盟に成功しました。
これほど時間をかけ、苦労してECに加盟したにもかかわらず、イギリスは加盟してからたった2年しか経っていない1975年に、EC残留の是非を問う国民投票を実施しました。
この国民投票の結果、EC残留の支持率は67%と、低くはないが高くもない数字でした。
このような姿勢から、イギリスは加盟直後からEC(のちのEU)という組織に対して、どこか懐疑的であったことが伺えます。
他にもイギリスはEUに不平やワガママばかり。
加盟2年後から国民投票をしたりと、なかなかなイギリスですが、その後も身勝手な行動は続きます。
EU加盟国は全員、EUという組織運営のために加盟国拠出金というお金を支払うのですが、イギリスのサッチャー首相は「EUへと支払う拠出金に対して、イギリスが得られるメリットが少なすぎる」などと主張しはじめました。
その結果、1984年にサッチャー首相は「払い戻し」と呼ばれる制度を導入し、イギリスだけ拠出金を数十億ユーロ(日本円で数千億円)減らすこととなりました。
他にも、イギリスには「オプトアウト」もあります。
オプトアウトは、簡単に言えば、EUの決まりごとにイギリスだけ参加しなくていいよ、ということです。
イギリスだけEU加盟国同士でも出入りにパスポートが必要だったり(シェンゲン協定不参加)、イギリスだけ通貨がユーロではなくポンドだったり(通貨連盟不参加)、という具合です。
欧州難民危機は、今まで積み重なった問題が爆発したキッカケに過ぎない
以上のように、イギリスがEU離脱を決めた原因は、一言では言い表せない、というのが現実です。
様々な要因が複雑に絡み合って、世論としての「EU懐疑論」が少しずつ、時間をかけてふくれあがってきた、という状態です。
欧州難民危機は、今まで積み重なってきたEUへの不満が一気に爆発することとなったキッカケに過ぎないのです。
だからこそ、イギリスのEU離脱問題は根が深いですし、そう簡単に解決できる話でもないのです。
裏を返すと、これだけ根が深く複雑だから、歴史的背景まできちんと理解している人が少ないわけですね。
なので、とりあえずこの記事に書いてある背景事情をおさえておけば、それだけで就活の面接でニュースネタの話題になった時、
「きちんとニュースを深く読んでいる、社会人になる意識の高い学生だ」
と思わせて好印象を与えられるかもね。
EU離脱ネタは今後もしばらく使える話題だし、覚えておこう。
ではまたー。
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