額面に加え福利厚生も含めた、「トータルの給料」の調べ方

2019年3月12日

給料100万円分くらい価値がある福利厚生

 

どうせ仕事をするなら、結局「高給」に勝るものはないと思います。

少なくとも、同じ労働条件なら、少しでも給料が高い方がいいに決まってるわけです。

 

とはいえ、月給に、賞与に、住宅手当、企業年金や確定拠出年金、

残業代の有無、持株会、財形貯蓄制度、そこから引かれる各種保険料や税金…etc.

 

あれやこれやと全てを総合して考えてみて、どっちの方がもらえるお金が多いのか。

 

正直、ごちゃごちゃしてて分かりづらいですし

計算方法もよくわからないですよね。

 

しかし、甘く見ないでください。

 

これらフリンジベネフィット(賃金・給与以外の、各種福利厚生による経済的利益)は、

総合すると、額面で年収100万円分くらい平気で変わってきます。

 

(以下、フリンジベネフィットも含めた賃金を

このサイトでは「正味賃金」と呼ぶこととします。

 

今後の人生、少しでもいい生活をしたいなら

この「フリンジベネフィット」を考えることがめちゃくちゃ大切になるので

今日はこの言葉を必ず覚えて帰ってください。)

 

つまり、(多浪多留者向けサイトらしくw)26歳で新卒入社したとして、

定年の65歳まで40年間働き続けたら、

単純計算でトータルで4000万円も生涯正味賃金が変わるわけです。

 

なんなら、出世していくと

退職金やその他各種手当も跳ね上がっていくので

生涯正味賃金はもっと差が出てきます。6000万円とか、8000万円とか。

 

それだけインパクトが大きいんです。

フリンジベネフィットって。

 

給料の「額面」に騙されるな!

 

ただ、特に最近は、

これらフリンジベネフィットを気にする人が少なかったことから

 

「トータルで社員に払うお金下げても、額面の給料上げれば

みんなそうと知らずに喜んで働いてくれるし、

給料以外の手当なんてやめちゃえ☆」

 

みたいな企業が増えています。

(額面で給料が3万増えたけど、毎月5万の家賃補助が実は無くなっていたり

企業年金がめちゃくちゃ減額されていたり。)

 

なので、本当に、絶対に、額面の給料だけを見て

「こっちの方が給料良さそう~」なんて安直に決めてはいけません。

人生かかってますから。

 

逆を言うと、手厚いフリンジベネフィットのおかげで

額面の給料はそんなに多くなくても

実質年収1000万円の生活ができる企業は、実は意外とあります。

 

ということで今回は

少しでも正味賃金の多い会社に入るために、

「どこの数字を見て調べれば、もらえる給料・手当の総額が分かるのか」

を、お伝えしようと思います。

 

必見!絶対に損しない、正味賃金の計算方法

 

詳細すぎる計算は、考え始めたらキリが無いので

おおまかに計算します。

(詳細な計算をしたい方向けの記事は、要望がありましたら別途書き記します。)

 

見るべきポイントは以下の5つ。

 

・給料(月給)

・賞与(いわゆるボーナス)

・交通費手当/住宅手当

―――ここまでが基本。転職するならここまでで十分。―――

 

・退職金

―――定年まで勤め上げるなら必ずここまで考えること。―――

 

・企業年金、確定拠出年金、カフェテリア、持株会などのその他各種手当(発展)

―――ここまでやると絶対に損しない。完璧。(今回は触れません。)―――

 

 

で、

正味年収=(月収+残業代-交通費+住宅手当)×12カ月+賞与+年収換算退職金+その他各種手当

これが基本公式となります。

 

これだけ見て分かる方は、自分で計算してみてください。

 

まだよく分からない方は、

少し長くなりますが、以下で丁寧に説明してあります。

頑張って読んで、必ず、絶対に計算してください。

 

ここで頑張るだけで、

フリンジベネフィットで年間100万円得できるかもしれないのです。

面倒でも必ず計算して、少しでも得な企業を選びましょう。

(ここまで言って頑張れないなら、お金に余裕ある人生は諦めましょう。)

 

具体的な正味賃金の計算のやり方は…

 

基本的に初任給の数字を使って年収の比較をします。

というのも、平均年収が似通っているから2社を比較したいのだと思うので、

それなら分かりやすい初任給を使って考えた方が楽ですから。

 

(というか、平均年収が明らかに違うなら

 平均年収が高い会社に思考停止で行けばよいので、

 こんな煩雑な計算をする必要はありません。

 

 平均年収が似通っていて、

 どっちの方が正味で得なのか気になる!という場合にのみご活用ください。)

 

順番に見ていきましょう。

 

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・給料(月給)

 

これは、見るのが当たり前ですね。

月額が多ければ多いほど良いです。

 

ただ、注意して見なくてはいけない点は

残業代の扱いについてです。

 

出典:リクナビ2020より

 

例えば、こちらの給与形態を見てください。

一件、初任給からして高そうに見えますよね。

月給31万8750円からスタート。素晴らしい数字です。

 

ですが、

『55時間分の一律固定残業手当89,045円および40時間分の固定深夜手当12,960円ならびに20時間分の固定休日手当9080円を含む、時間超過分は別途支給 』

とあるように、合計115時間分の残業代が

すでに給与に含まれている、ということです。

 

裏を返すと、

115時間くらいは平気で残業するよ☆

115時間以上残業しないと、追加の残業代は出ないよ☆

と言っているわけですね。

 

残業時間の時間給が平均1200円としたら、

残業代相当分が115h*1,200円=138,000円。

これを31万8750円から引くと、はじき出される基本給は…?

 

…これをどう捉えるかは人それぞれですが

固定残業代込みの月額給与だけ見て「わぁ、すばらしい!」と考えてはいけない、

ということはお判りいただけたかと思います。

 

他にも、固定残業代30時間込、45時間込など

表示されている給与に一定時間の残業代が含まれるケースが多々あります。

その場合、一見初任給が低く見える会社の方が

残業代が全てもらえるため、かえって給料が高い、という可能性もあります。

 

残業代の時給は、特に初任給の場合はどの会社も大差ないので

比較する際は、固定残業代も除いた、ベースの給料を見比べると良いでしょう。

 

・賞与

 

これは、いわゆるボーナスです。

一般に、「給料×12カ月分+賞与」が、年収となります。

 

ボーナスの無い会社、年に一回の会社、年に二回の会社など

各社様々ですが、真に重要なことは

「結局、年間で給料の何か月分の賞与が出るの?」

という点です。決して賞与の回数を見てはいけません。

 

というのも例えば、

「年間賞与一回」のA社と「年間賞与二回」のB社の二社を比較したとして、

必ずしもB社の方が賞与が大きいとは限らないのです。

 

具体的には、例えば

A社の賞与は一回当たり給料三か月分 / B社の賞与は一回当たり給料一か月分

だったとしたら。

 

A社の年間賞与は給料三か月分 / B社の年間賞与は給料二か月分

となり、明らかにA社の方がもらえるボーナスは高くなります。

 

このように、賞与といっても各社かなり形態がバラバラなので、

「あれ…私の賞与、少ない…!?」

みたいなことにならないよう、きちんと調べましょう。

 

・交通費手当/住宅手当

 

この二つは非常に分かりやすい形のフリンジベネフィットですね。

基本的に、これらの手当を給料に換算する場合、

 

交通費手当…出ない場合、月給から毎月の交通費を減額(出る場合は何もしない)

住宅手当……出る場合、毎月の支給額を月給にプラス(出ない場合は何もしない)

 

という形で換算します。

ややこしいので、以下具体例を出しますね。

 

 

Q1. 月給20万円、交通費無し(会社と自宅の往復交通費は月額2万円)、住宅手当3万円

の人の正味月給は?

A1. 20万円-2万円+3万円=21万円。

(交通費が自腹なので給料から引く。住宅手当がもらえるので、給料に足す。)

 

Q2. 月給22万円、交通費全額支給、住宅手当月額5000円まで。

の人の正味月給は?

A2. 22万円+0.5万円=22.5万円

 

こんな感じの計算です。

 

(ちなみに、これは更に計算が煩雑になるので

この場具体的に考える事は避けていますが、

交通費手当や住宅手当がある場合と無い場合で、どちらも正味月収が同じ場合、

交通費手当や住宅手当がある場合の方が、手元に残るお金は増えます。

 

というのも、住宅手当を無くし、その分給料に上乗せした場合、

額面の年収が増えるので、所得税が増えます。

結果、一見給料が増えたはずが、実際は貧しくなるという

皮肉な現象が起きてしまうのです。)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

―――ここまでが基本の内容ですね。

まとめると、

正味年収=(月収-交通費+住宅手当)*12+賞与

が、公式です。

 

最低限、ここまでは計算して比較しましょう。

お金のことなので、面倒がらず、損しないために。

 

途中で転職する予定ならこれで十分ですが、

生涯勤め上げる場合は、実はこれだけでは足りません。

これらに加えて、退職金も考える必要があります。

 

・退職金

 

最近は退職金が出ない企業(特にベンチャー)も増えています。

(その分基本給は高め。)

 

というのも、戦後~高度成長期頃から今まで、

退職金は「給料の後払い」という性質を持っていました。

 

急激に上昇する物価や利益に対して

給与体系の変化が追い付かなかったため、その差を吸収する役目として

退職金、という仕組みが生まれたのです。

 

ですが、終身雇用が世の中から消えつつあり、

ここ数十年は物価上昇どころか不況が無限に続いていたので

退職金という仕組み自体が見直され始めた、というわけです。

 

で、

「退職金が給料の後払いだってんなら、

 退職金なんて無くして、最初からしっかり給料もらった方がよくね?」

という話になり、特に若いベンチャー企業では退職金制度が無い企業が増えています。

 

…という状況があるので、少しでも得をするためには、

「正味月収は高いけど退職金が出ない企業」と

「正味月収は低いけど退職金が出る企業」を、

どっちの方が将来的にもらえる金額が大きいのか、しっかり計算する必要があります。

 

非常に単純な比較は、

もらえる退職金を勤続年数で割り、年収に加算することです。

 

例えば退職金が2000万円もらえるとして、

40年勤務なら、年間50万円の給料アップと同義です。

 

繁雑な計算をしたくない人は、この計算で正味年収を計算してみましょう。

 

例えば、初任給26万円で退職金が出ないX社と

初任給22万円で退職金が年換算50万円支払われるY社、

どちらの方が良い給料がもらえるでしょうか?

 

計算すると

26万円×12カ月=312万円

22万円×12カ月+50万円=314万円

となり、Y社の方が得だと分かります。

 

「たった2万円しか変わらんのかい!」

などと思わないでください、

この2万円の差が40年間続けば、80万円の差になります。

 

将来子供を、きちんと半年~1年塾に通わせてあげられる金額です。

それによって子供の学歴が上がったら、

子供の期待生涯賃金は、一体何千万円上がることでしょう?

 

…このように、少しでも得をしていい人生を送るためには、

わずかな差も、決して無駄にはしてはいけないのです。

 

ちなみに、退職金の額は、

企業や出世状況次第で大きく差があるので一概には何とも言えませんが、

平均は、大企業なら2200万円ほど、中小企業なら1100万円ほどです。

 

もっと厳密に退職金の価値計算をしてみたい方は

割引現在価値(PV)を求める計算をすると良いでしょう。

この計算は、当記事で解説するには紙幅があまりに足りないので

ご要望があれば別記事で紹介する形とします。

 

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以上、まとめると

 

正味年収=(月収+残業代-交通費+住宅手当)×12カ月+賞与+年収換算退職金

 

となります。

あとはここに、企業年金や確定拠出年金などを追加して

 

正味年収=(月収+残業代-交通費+住宅手当)×12カ月+賞与+年収換算退職金+その他各種手当

 

で計算すれば、ほぼ完璧な比較ができ、

少しでもお金に余裕がある生活が送れるでしょう。

 

内定をもらった会社に関して、

仕事にこだわりが無く、少しでも稼げそうな会社に行きたいのなら。

ぜひ、この計算をしてみてください。

 

そうすれば、あなたは間違いなく、最も得をする道を歩めることでしょう。

 

で、こうした細かい計算をきちんとできるようになれば

企業に入ってからも、細かい数字を扱う時、

他人より詳しくミスなく数字を出せるようになるでしょう。

 

やったらやっただけ、可能性は開ける。

多浪も多留も、何だかんだで、まだまだ20代~30代前半。

サクッと遅れを取り返して、楽しく豊かな人生を送れるし、送ったもん勝ちよ。

 

悲観的にならず、こうしたポイントだけおさえて、上手く生きてこー!

 

ではまたー。