【面接で使える時事ネタ】米中対立①ファーウェイ批判から切る、米中対立の本質

2019年3月24日

基地局を制する者が通信業界を制する

 

たとえば、自宅で無線Wi-Fiを使うとき、無線ルーターから電波を飛ばして、ネット通信を行ったり電話をしたりしますよね。

それと同じで、通常のスマホの通信(4Gなど)は、街のどこか(通常、マンションなどの屋上)にある「基地局」から電波を飛ばすことで、ネット通信や電話ができるようになっています。

 

つまりイメージとしては、基地局とは、あなたの街の巨大無線ルーターなのです。

以下の図のように、スマホは基地局とつながることで、はじめてネット通信や電話ができるのです。

(よく「電波が入らない!」となるのは、この基地局からの電波が届かない、という状態のことです。)

(参考:HH News & Reports)

 

画像を見ると分かるように、どんな通信も、必ず一度は基地局を経由してスマホに届きます。つまり、基地局を握る、ということは、すべての通信を握る、ということと同じ意味を持つのです。

だから、基地局を制するものは、通信業界を制するのです。

 

この通信業界を制することで得られる利益は、経済波及効果も考えると数千億円~数兆円にも及び、莫大です。

しかも、一度勝敗が決すれば、今後何年にもわたり、その利益を享受できるでしょう。得られる国益は将来的に数兆円~数十兆円にも及ぶでしょう。

日本の国家予算ですら、年間百兆円前後なのですから。国を挙げてこの利権を取りに行く理由が分かるというものです。

 

基地局を握る者は、国防を左右する

 

また、先ほど上で申し上げたように、すべてのスマホの通信が必ず一度基地局を通りますから。

例えば基地局に何か仕掛けをしてしまえば、すべての通信をハッキングし、傍受することだって可能なのです。

つまり国家の機密情報だって入手が可能になるわけです。

(現在すでに使用されているファーウェイ製基地局について、アメリカはハッキングのための仕掛けがある、と主張していますが、厳しい調査の末、いまだ確かな証拠は見つかっていません。

現状では、あくまで可能性の話に過ぎない、とだけ申しておきます。)

 

ファーウェイは、この基地局作りにおいて、高い技術力・安い価格によって、どんどん市場を拡大しています。

このまま基地局の開発競争にファーウェイが勝てば、アメリカの半分以上の基地局がファーウェイ製になってもおかしくはないでしょう。

(2017年において、基地局売上シェア世界1位はファーウェイです。ちなみに世界4位も中国企業ZTE社で、中国企業が世界シェアの約40%を握っていることになります。)

 

つまり、アメリカの国家機密情報は全て中国に筒抜けとなり、戦争をすれば負ける可能性が非常に高い状態になってしまう、ということです。

国防を考えると、これほど恐ろしいリスクはありません。

 

なぜ「今」基地局が問題に?

 

とはいえ、基地局は日本でもアメリカでもヨーロッパでも、広くずっと使われてきました。なぜ今、突如として基地局が問題になったのでしょうか。

その答えが、「5G」なのです。

 

今使われている4G通信と比較し、5Gは圧倒的に速い速度・省電力で通信が可能として、例えば日本では2020年にはサービス開始ができるように開発が進んでいます。

そのために、5G通信のための新しい基地局が必要になってきます。だから今、基地局の開発競争が激化しているわけです。

 

特に中国は、経済成長とともに賃金水準が上がってきたとはいえ、まだまだ先進国と比較して安い賃金水準を保っています。

こうした背景からくるファーウェイの価格競争力に押されているアメリカは、「市場に任せていては中国に負けてしまう」と気付き、政治的に市場に介入して、中国を打倒しようとしているのです。

その結果としての巨額の関税であり、ファーウェイ批判なのです。

 

必ずしもアメリカが正義ではないことに注意

 

今までの話を聞くと、あたかも「世界の通信を全て傍受し、支配を目論む中国に対しアメリカが正義の戦いを仕掛けている」かのごとく思えてきますが、それは断じて間違いです。

アメリカも自国の利益のために世界中の様々な情報を秘密裏に集めていたことは、すでに周知の事実です。

ジュリアン・アサンジのウィキリークスでの暴露にしかり、フェイスブックが個人情報を切り売りしトランプの大統領選挙に利用された件にしかり、です。

 

結局は、個人情報保護も国防への懸念も、いかに自国が利権を掴み、巨額の利益を得るかという話に尽きるのです。

今までは、二次大戦でアジアもヨーロッパもボロボロになっていたことから、アメリカが世界を主導し、物事を決め、利権を握り、最も利益を挙げてきました。

アメリカ一強であったGDPが、その利権の集中度合を示してくれます。そのアメリカ一極集中の利権構造に真っ向から立ち向かっているのが、今の中国なのです。

 

もちろん、だからと言って中国の全てが肯定されるわけでもありません。

社会主義市場経済の中国の政治体制も、個人情報の扱いも、我々資本主義圏のそれとは馴染むものではありません。

また、今までの国際的な競争ルール(つまりアメリカが主導して作ったルール)を守ろうとしていないのも事実です。

 

この、どちらが正義とも言えない複雑な関係の中で、お互いが自国の利益のために競争・対立を行っている現状こそ、米中対立の問題の難しさであり、根の深さであり、面白さでもあります。

 

面接での、このニュースの使い方

 

「最近気になっているニュースなどはありますか?」といった質問で使える話題でしょう。

特に海外情勢が仕事に関わってくる、商社やメーカーにはウケが良い話題でしょう。

 

ただ単に「ファーウェイが個人情報を盗んでるらしい!」みたいな浅い話ではなく、その背景の米中対立、覇権争いにまで話を発展させられれば、「深く物事を考える洞察力と見識の高さ」をアピールでき、内定が一歩近づくこと間違いなしです。

 

この他にも、気になった米中対立関係のニュースを、つまみ食いして覚えていくと、より知識を深めることができて良いかもね。

 

ではまたー。